【北の大地を熱くする、魂の躍動】 自分がYOSAKOIソーランに魅せられる理由|福 一紀

北海道の小学校の運動会。それは、自分たちにとって単なる体育の披露会ではありませんでした。

法被やはちまきを身にまとい、力強いリズムに乗せて舞い踊るYOSAKOIソーラン。小学生だった自分の心にも、「ヤーレンソーラン!」の掛け声と、大地を踏みしめる独特の踊りで一体感を感じ、毎年の運動会が待ち遠しくて仕方がありませんでした。

社会人になるまで、YOSAKOIソーランとはしばらく縁のない生活を送っていました。しかし、心の奥底には小学生のときに踊ったときのあの熱いエネルギーや仲間との一体感への憧憬が燻っていたのです。

「いつか、もう一度、本格的に踊りたい。」そう願っていた私に、再びYOSAKOIソーランと深く関わる機会が訪れます。

小樽と繋ぐ、情熱の再燃

小樽の高校に進学したものの、大学進学を機に後志管内を離れた自分にとって、再び小樽に足を踏み入れるきっかけとなったのは、紛れもなくYOSAKOIソーランでした。

社会人になり、再び後志に戻り仕事に就いた頃、高校時代の友人が小樽で社会人YOSAKOIチームに入っているという知らせが舞い込んできたのです。

「やってみたいけど…」と胸の内で秘めていたYOSAKOIソーランへの熱い想いが、まるで堰を切ったように溢れ出しました。

「身近な場所で、あの時の感動を再び味わえるかもしれない。」そう思った瞬間、いてもたってもいられなくなり、体験当日に「入ります!」と答えていました。それが、YOSAKOIソーランチーム傾徒との出会いです。

自分とYOSAKOIソーランが、小樽を通して再び結びついた瞬間でした。さらに、小樽で練習を重ねる中で、美味しいお店との出会いや、地域の人々との交流が生まれたことも、YOSAKOIソーランが繋いでくれた大切な縁だと感じています。

メンバーと繋ぐ、かけがえのない絆

社会人チームの扉を開けると、豊かな人間関係が広がっていました。年齢も職業も異なる多様なメンバーたち。

練習の合間には、仕事の悩みや将来について語り合ったり、YOSAKOIソーラン以外の趣味について熱く語り合ったり…。それぞれの個性や価値観に触れることで、自分の視野が大きく広がっていくのを感じました。

職場や家庭とはまた違う、温かい居場所。そこには、「YOSAKOIソーランを通して何かを表現したい!」という強い想いを共有する仲間たちが集い、互いに刺激し合い、高め合う、かけがえのない絆がありました。

お客さんと繋ぐ、感動の共有

YOSAKOIソーランの醍醐味は、何よりも見てくれる人がいるからこそ、豊かに表現できることです。

6月のYOSAKOIソーラン祭りでの熱狂はもちろんのこと、地元のお祭りや様々な施設でのイベントなど、舞台はどこであれ、観客の皆さんの笑顔を見たとき、会場全体が一体となった瞬間に、この上ない喜びを感じます。

もしかしたら、それは一度限りの出会いかもしれません。それでも、私たちの情熱が、踊りを通して観客の皆さんの心に届き、共に感動を分かち合えることほど、幸せな瞬間はありません。

YOSAKOIソーランには、迫力と躍動感、そして何よりも、YOSAKOIソーランチームの内なる想いを表現する無限の可能性を秘めたエンターテインメント性があります。

自分自身、その魅力に強く惹きつけられています。自分たちで演舞の構成や振り付け、そして衣装や楽曲までも創り上げる過程は、まるで一年中文化祭を味わっているかのようなワクワク感に満ちています。

そして、初夏の祭りの舞台で、自分たちの演舞を披露し、観客の皆さんと心を通わせ、共に喜びを分かち合う瞬間は、まさに心が震えるほどの感動です。

小樽を含む後志の海岸地域は、かつてニシン漁で栄え、力強いソーラン節が歌い継がれてきた歴史を持っています。

その地にYOSAKOIソーランが根付き、再び地域を盛り上げる力となると信じているからこそ、自分はこれからも情熱を持ってYOSAKOIソーランと向き合っていきたいと思います。

そして、ハート・フェスは、まさに〈小樽×YOSAKOIソーラン〉という新たな文化を創造するイベントだと確信しています。昨年は約30ものチームが熱い演舞を繰り広げ、多くの来場者の方々に楽しんでいただきました。運営に携わる私たちにとって、これほどの達成感はありません。

しかし、これはまだ始まりに過ぎません。小樽とYOSAKOIソーランを繋ぎ、さらに大きな感動を創り出すために、これからも皆さんと共に歩んでいきたいと強く願っています。

北海道公立小学校教員
所属チーム:YOSAKOIソーランチーム傾徒 福 一紀

この記事の監修者

YOSAKOIソーラン祭り後志支部副支部長

砂 田 悠 太

すなだゆうた

プロフィール

学生時代に小樽商科大学翔楽舞でYOSAKOIソーランに出会い、演舞制作の監督を担う。2018年2月に小樽市で社会人チームYOSAKOIソーランチーム傾徒を立ち上げる。小樽市日本遺産プロデューサーの活動の一環として2023年9月より、小樽市等の後援のもとSORAN HEART FESTIVALを発起人として運営。同イベントで小樽市内の子供達のYOSAKOIソーランへの熱が高まったことを機に新チームを立ち上げ、会長に就任。 ◆YOSAKOIソーランチーム傾徒 代表◆おたるYOSAKOIソーランJr. 澪-mio- 会長◆SORAN HEART FESTIVAL 発起人